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ノンアスベスト屋根材への塗装

平型化粧スレートはカラーベストやコロニアルと言われる薄型の屋根材です。
一般的な耐用年数は、30年と言われています。
しかし昨今、外装診断にお伺いする築20年以内くらいのお宅でスレート屋根の物件については「ひび割れ」、「欠け」、「めくれ」などが発生している状況のものに多く遭遇します。
その理由を解説いたします。
そのほとんどが、2004年のアスベストに関する行令改正・規制に基づき、2000年前後に製造されたノンアスベストタイプ(通称ノンアス)への切り替え時期の屋根材です。
それ以前であればアスベスト入り、2004年以降や前後であればノンアスタイプの可能性が高いです。

 

一般的に、アスベスト(石綿)と聞くと、危険なイメージを持たれる方が多いかもしれません。

アスベストは空気中に浮遊した状態になければ危険性は低いといわれています。
築20年以上のスレート屋根のお宅は、アスベスト入りのスレート屋根材であり、強度についてはしっかりしています。
しかし、アスベスト切り替え時期のスレート屋根については、アスベストの変わりに木片や合成樹脂などが配合されており、その影響により強度が低くなっています。
その結果として早い年数での劣化につながっているものが多いです。
1995年~2008年くらいまでの製品が特に要注意です。脆弱な初期ノンアスタイプの可能性が高いです。

初期ノンアスベストタイプの代表的な製品と主な症状

不具合のあるノンアス屋根材として有名なのはニチハのパミールです。
1996年~2008年頃流通していた製品は、屋根材の先端部分からミルフィーユのように層状にパリパリと捲れや剥がれが起こる(層状剥離や層間剥離)という症状が特徴です。

またパミールは取り付けている釘のメッキ処理にも問題があり、腐食し屋根材が抜け落ちる不具合も報告されています。

パミールは塗装不可です。表面に塗装しても下の層から剥離します。

歩くだけで崩れ落ち、大変危険です。板金工事によるカバー工法(重ね葺き)または葺き替えをお勧めします。

平型化粧スレートではありませんが、セキスイかわらUです。
1990年にノンアスベストタイプの先駆けとして販売され、古い平型化粧スレートのカバー工法(重ね葺き)として人気がありました。
全体的に脆く上に乗ることは危険です。特に先端部が脆く砕けます。
塗装不可です。メンテナンス方法としては葺き替えになります。
最も遭遇するノンアスの屋根材はクボタ(現KMEW)のコロニアルNEOです。 
2001年~2008年頃流通していた製品です。
コロニアルNEOは品質にバラつきがあるようで、10年くらいで「ひび割れ」や「欠け」が多発する物もあれば、20年近く経っても割れが少ないものもあります。
品質の良くない物は人が乗らずとも、自然に割れることがあります。
下の写真は実際に、15年前に他社にて外壁塗装と「コロニアルNEO」で屋根を葺き替え工事された建物を数年前に外装診断した際に撮影しました。
釘穴が連なるように横割れ破断している箇所が数箇所あり、釘を中心とした縦割れや欠損は100箇所以上ありました。

「コロニアルNEO」への塗装は品質や環境によって劣化程度に差があるので業者によって塗装の可否が分かれることが多いです。

当店では基本的に塗装はお勧めしておりません。
高圧洗浄や塗装作業中に割れが無数に発生する恐れもありますし、塗装後に自然発生した割れや欠損によって屋根材が抜け落ち、事故やトラブルになる可能性がある為です。

その他

  • 松下電工(現KMEW) レサス
  • クボタ(現KMEW)アーバニー
などがあります。

ノンアスベストタイプのスレートは塗装できないのか?

アスベストが禁止され登場したノンアスベスト屋根材ですが、確かに発売初期のノンアスベストのスレート屋根材(主にパミールやコロニアルNEO)は脆く耐久性が低い屋根材でした。
しかしその後改良され、2008年頃からは改良版のノンアスベストのスレート屋根材(主にコロニアルグラッサやコロニアルクァッド)が主流となっています。

実際に現場を見て回っていても、初期のノンアスベストのスレート屋根材であるコロニアルNEOと比較すると、改良されたノンアスベストのスレート屋根材のコロニアルグラッサやコロニアルクァッドは丈夫で、不具合が見られないことが多いです。

強度も粘りもあり縁切り部材タスペーサーを使用した塗装も可能です。(今のところ不具合の情報もなく、定期点検にて経過観察中です。)

したがって、当店では改良版ノンアスベスト屋根材は塗装可能であるとの見解です。

注意したいのは、”新築時の施工書に書かれた屋根材”と”実際に乗っている屋根材”は本当に同じものか?という点です
何事も疑ってかかるのは良くないですが、現場を見ていると施工書と実物が違うという事がたまにあります。
特に2008年前後の切り替え時期に新築したお住まいは、施工書だけで判断するのは危険です。


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