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シーリング上の塗膜の割れ

シーリングには、外壁材の隙間からの水の侵入を防ぐ「防水」の役目や、建物の揺れや寒暖差などによりサイディングが膨張・伸縮した際に、サイディング同士の衝撃や負荷を和らげる「緩衝」の役割など重要な働きがありますが、シーリングは経年とともに劣化していきます。

そのため、外壁塗装と一緒にシーリングも補修することが多いのですが、「シーリングの上から塗装しても大丈夫?」といった質問をお客様からいただきます。

そこでシーリング上に塗装した場合に起こりうる現象とその原因について書かせていただきます。

 

シーリング上の塗膜が割れる原因

①建物の揺れ

地震や風、大型車両や鉄道など影響で、建物は常に揺れや振動を起こしています。

このような瞬発的な動きも塗膜割れの要因となります。

 

②サイディングの伸縮

サイディングは温度や湿度によって、伸縮を繰り返していて、それをシーリング材が吸収しています。

 これを毎日繰り返す事によって、シーリング上の塗膜が徐々に割れてしまいます。

 

使用した塗料の塗膜硬度や硬化

塗料や塗材は製品や仕上げ方によって塗膜の硬さが異なります。

塗膜硬度が高いほど耐候性が高かったり、汚れに強かったりする傾向がありますが、シーリング上などの柔らかい部分では、硬い塗膜がシーリング材にしっかり追従できず、割れやすくなります。

また、塗装後間もない時期は塗膜が柔らかくシーリングの動きに追従できていても、硬化が進むことによって徐々に割れることもあります。

 

④シーリングの硬化不足

乾燥硬化するまでの日数はシーリングの種類によって異なります。

十分に乾燥を確認してから塗装しないと、シーリングの乾燥過程で起こる表面積の変化に塗膜が付いていけず、引っ張られる事で、初期の塗膜割れの原因になります。

 

⑤シーリングの割れや切れ

シーリング工事を行った際の施工不良(3面接着やプライマー不足)によってシーリング自体が割れや切れを起こす場合があります。

 

このように、シーリング上の塗膜の割れは、一つまたは複数の要因が重なることによって自然と起きてしまいます。

しかし、シーリング上の塗装が割れたとしても、シーリング自体が劣化や断裂したりしない限り、防水や外壁材の緩衝などのシーリング本来の機能が損なわれる訳ではないため、あくまでも見た目的な問題でとどまります。

ですから、補修塗りを行えば、見た目の補修はできますが、①②③が要因の場合には再び割れる可能性が高く、根本的な解決策にはなりません。

そこで、多くの塗料メーカーが推奨するのがシーリングの「後打ち」になります。

外壁塗装の際、同時に行われるシーリング工事には、既存の古いシーリング材を撤去した後、新しいシーリングを充填、硬化を待ってから外壁材と一緒にシーリングも塗装する「先打ち」と外壁の塗装をしたのちに、新しいシーリングを充填する「後打ち」があります。

後打ちはシーリングの上に塗装を行わないので、当然塗膜割れが起きる心配はありません。

先程、塗料メーカーは後打ちを推奨していると述べた理由はそこにあります。

ですが、どちらの工法が正しい、間違っているという訳ではなく、それぞれにメリット・デメリットがあります。

デメリットの対処法も合わせて、詳しくお伝えします。

 

先打ちのメリット

・ 外壁とシーリングが同色の塗装で覆われる為、全体的な仕上がりがきれいに見える

・ シーリングが塗膜によって保護されるため、シーリング自体の劣化が遅い

 

先打ちのデメリット

・ 動きのあるシーリング上の塗膜の割れ、剥がれが発生する

・ クリアー塗装をした場合に不具合が起こりやすい

 

先打ちのデメリット対処法

・ 割れても目立ちにくいシーリング色を選ぶ

・ シーリングの動きに追従しやすくなる弾性塗料の使用

・ シーリング用の割れ・抑制サフェーサーで塗膜割れしにくくする

 

シーリング上で「絶対に」割れない、外壁塗料はありません。

外壁塗装を行う際のシーリング工事では先打ちする場合が比較的多く、実際にシーリング上の塗膜の割れの対する相談も多いです。

シーリングは家が揺れた際に外壁材が割れない様、力を分散する効果があるので、ゴムの様に柔らく伸び縮みします。

その上に硬い塗膜を載せると……どうなるでしょう。

シーリングの上にピッタリと付着した塗膜は、シーリングの動きに付いていけず、ひび割れを起こしてしまう事があります。

建築用の上塗り塗料は改修用シーリング材とも相性が良いものが多いのですが、しかしあくまでも塗装は本来、屋根材や外壁材を保護するための数十ミクロンの薄い膜です。

そのため、とても柔らかく動きの多いシーリングに完全追従する機能はありません。

弾性系塗料‥乾燥後の塗膜が比較的柔らかいタイプの塗料もありますが、あくまでも通常の上塗り塗料と比較して追従しやすいのであって、割れづらいに留まるものになります。

そのため、特殊な壁面塗膜防水材などを除いて、「住宅塗装ではシーリング上で絶対に割れない塗膜はない」という事を予め理解しておく必要があります。

 

後打ちのメリット

・シーリング上に塗膜がないため当然塗膜割れや不具合の心配がない。

 

・後打ちのデメリット

・ シーリングが塗膜で保護されず直接紫外線の影響を受けるため先打ちと比べてシーリングの劣化が早い。

・ 外壁色とシーリング材の色調をピッタリ合わせることが難しいため、シーリングの色によっては完工後に目地部   分の色が浮いて見える場合がある。

 

後打ちのデメリット対処法

・高耐候、高耐久のシーリング材を使用する

塗膜割れを敬遠して後打ちを選択しても、「塗装よりシーリングが先にダメになってしまった…」ということになれば余計な出費に繋がります。

ですから、後打ちを選ぶ際には高耐候・高耐久のシーリング材をおすすめします。

当店がオススメしているのは「オートンイクシード」です。

また、高耐久のシーリング材は新築時や塗り替え時の後打ちを前提として多くのカラーバリエーションを揃えていますので、できるだけ外壁色に近い色を選ぶ事で、先打ちの様に全体的な外観をキレイに仕上げる事もできます。

 

まとめ

シーリングの施工法やシーリング上の塗膜割れについて、塗料メーカーの視点から解説をしてきました。

シーリング上の塗膜割れは、認識不足から施工後のトラブルやメーカーへの相談が最も多いものの一つになります。

しかし、塗料を製造する立場の建築塗料メーカーとしては、基本的にシーリング上は塗装適用基材に含まれませんし、シーリング用の塗装仕様もありません。

一方のシーリングメーカーに問い合わせても、塗膜割れに関してはシーリング自体の不具合ではないので、はっきりした回答は得られません。

後打ち先打ち、塗膜割れの十分な説明や理解がないまま「割れたらタッチアップで直せばいい」という安易な考え方は、「シーリング上の塗膜割れは施工や塗料の不具合」という間違った認識を招いてしまい、クレームやいつまでも終わらない補修を繰り返すことになりかねません。

そのため、塗装の本来の役割、シーリングの役割、先打ちや後打ちのメリット・デメリットを事前に知ってもらう事が、のちのトラブルや不安を取り除く事に繋がります。