ブログ blog
サイディングの「直貼り工法」と「通気工法」
近年の戸建て住宅の外壁といえば、窯業系サイディングボードが主流となっています。
90年代の終わり頃から普及し始めたため、中にはすでに外壁塗装をされた方や、まさに今、塗り替えを検討中の方もいるかと思います。
今回は、サイディングの取り付け工法の違いや、その「違い」が招く不具合について解説します
サイディングの取り付け工法には2種類ある
サイディングを取り付ける際の工法は、次の2種類になります。
1. 直貼り工法
柱に防水シートを施し、その上に直接サイディングボードを貼り付ける工法。
サイディングが普及しはじめた1990年代から2000年までは直貼り工法が主流でした。
2. 通気工法
柱とサイディングボードの間に胴縁(どうぶち)と呼ばれる通気層を設け、空気が通る隙間を確保した工法。
壁体内の湿気や水分を排出できる通気構法は、気候状況の厳しい寒冷地の構法として存在していました。
寒冷地は家の外と中の温度差が激しく、結露が発生しやすいです。
発生した結露が寒冷地のために凍ってしまい、それが原因で凍害が起きトラブルが多かったためにその対策として通気構法が対策として採用されていました。
直貼り工法が招く不具合
以前はコスト、工程の面で有利な直貼り工法が広く採用されていました。
ですが、昨今の住宅の気密性能や断熱材の性能が上がったことにより、屋外と室内の温度差は高くなっていたり、室内で発生した湿気が気密性が高いが故に外部に抜けにくくなっています。
しかし、直貼り工法はサイディングの裏側に隙間がないため通気性が悪く、湿気が壁内部に溜まりやすい特徴があります。
そのため、外壁の劣化やカビなどが頻発しました。
また、室内で発生した湿気が屋外側と室内側の温度差により壁面内に結露として発生します。
通気層がない事によって壁面内に発生した結露や水気を排出できず、結果として壁体内に水気が滞留し内部の断熱材を濡らし断熱性能を低下させることにもなります。
その対処方法として水気を滞留させず排出できる通気構法が全国的に普及しました。
2000年が品格法施行によって、多くの住宅メーカーが通気工法を標準施工法として推奨しています。
この年数より以前に建てられた建物は、直貼り構法である場合が多いです。
直貼り工法は外壁塗装でもトラブルを招きやすい
直貼り工法のサイディングは、塗り替えメンテンス後にもさまざまな不具合が生じる場合があります。
壁内部に溜まった水分が塗膜によってさらに逃げ場がなくなり、水分の蒸発で体積が増え塗膜を下から押し上げ膨らんだり、膨らんだ塗膜が剥がれてしまったりする可能性が高くなります。
また冬場には外壁材内部に残った水分が凍り、体積が増えることで外壁自体を破壊してしまう凍害も起きやすくなります。
直貼り工法と通気工法の見分け方
ご自宅のサイディングが直貼り工法か通気工法か、ご自身でもできる簡単な見分け方があります。
サイディング外壁の一番下にある水切りとサイディングの隙間に、定規や針金などを差し込んで、奥行きをチェックしてみてください。
サイディングボードの厚み分(10~16mm程度)の奥行きしかない場合、直貼り工法の可能性が高いです。
通気工法の場合は、胴縁分の奥行きがあるので20mm以上の奥行きがあります。
直貼り工法のサイディングのメンテナンス方法は?
直貼り工法のサイディングのメンテンス方法は大きく2つあります。
1. サイディングを全面通気工法に貼り替える
塗装ができないと診断し、サイディングの貼り替えをすすめる業者さんも多いですが、工期やコストが大きくかかります。
ですが、根本的な問題を解決するならこの方法を選ぶことになります。
2. できるかぎり不具合の出ない方法で塗装する
もし現時点で膨れ・剥がれなどの症状が出ていないのであれば、できる限りリスクを下げる施工を行うことで、塗り替えも可能です。
・湿気を逃がすことのできる透湿性の高い塗料を使う。
・下塗り材を厚膜にしない
・弾性塗料を使用しない
・遮熱塗料を使用する
・蓄熱しにくいような色・艶の選定
(兵庫県南部は温暖で比較的トラブルは少ないほうかと思われますが、対策をしても少なからずリスクはあります。)
おわりに
サイディングの取り付け工法の違いと、塗り替えの際の注意点について解説しました。
もし、直貼り工法のサイディングへの塗り替えをお考えでしたら、直貼り工法についての知識・経験のある、施工実績の豊富な高い技術をもつ塗装業者に依頼することをおすすめします。
当店では外壁塗装の見積もり現地調査の際は、このような事も調べて最適な塗装の提案をさせていただきますのでお任せください。