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ALCパネルやパワーボードの塗装
ALCパネルとは
ALCとは、軽量発泡コンクリートとも呼ばれており、表面がざらざらしていて、中は細かい気泡だらけです。
ALCの基本性能は、軽量、断熱、不燃、耐火といった特徴を持ったものです。
しかしその反面、表面の強度が弱く、欠けやすかったり、吸水性が高かったりします。
一般的に厚みが75mm以上が「ALC」、75mm未満が「パワーボード」と呼ばれています。
また、その厚みの違いから、補強の違いもあります。
ALCはRCのように鉄筋が入り、パワーボードはモルタルのようにラス(金網)が使用されています。
また、ALC自体に防水性がないため、表面を防水処理する必要があります。
表面の塗装や継ぎ目のシーリングも重要になります。
ALCパネルの弱点
機能性に優れた外壁材であるALCの特性を活かして長持ちさせるためにも、ぜひ知っておいていただきたいのが”ALCの弱点”です。
継ぎ目が多い
通常のALCパネルは幅60cmの板ですので、60cm間隔で継ぎ目があります。
つまり、外壁の継ぎ目が多くなるということです。
継ぎ目は多ければ多いほど、そこからの漏水リスクが高まります。
もちろん雨水の侵入を防ぐため、板間の継ぎ目にはシーリングという目地材を施工しますが、定期的な目地のメンテンスを怠ると、雨漏りの可能性が高まります。
ALCパネル自体に防水性はない
もうひとつのポイントは、多くの場合 “2次防水が無い”という点です。
サイディングで施工した住宅の場合、外壁の内側には透湿シートが張られます。多少の漏水があっても、雨水がすぐに浸透するわけではありません。
しかし、重量鉄骨造ALCパネルの場合は基本的に透湿シートは施工しないため、クラックの発生やシーリングの劣化は雨漏りに直結するとお考えください。
木造ALC造(通気工法、直張り工法)の場合には、2次防水はあるが厚みが薄く、窯業サイディングに近い蓄熱性を持っているため、塗膜の熱膨れも注意しないといけません。
外壁塗膜やシーリングの劣化が起こるのはどんな建物でも同じですが、ALCパネルの外壁にとっては塗膜とシーリングは最重要とも言えるメンテンスポイントです。
サイディングよりも念入りな注意が必要です。
ALCパネルやパワーボードの塗り替えの注意点
まず新築時の塗装仕様の確認が大事となります。
新築時に行う目止め処理が重要なポイントで、この目止めの工程をおろそかにすると、ALC内に水分が入りやすく、また塗替え時に思わぬ置換発泡と呼ばれる現象を引き起こすことがあります。
一度でも、目止めの処理が不十分のまま塗装してしまうと、その上からどんな処理をしても置換発泡が起こります。
塗り替えの際は、正直不具合が発生してからでないとわからず、見た目で判断するのは困難です。
防水性や弾性が高い塗料を使用する時は注意が必要
重量鉄骨造ALCパネルで雨漏りが発生している場合には、防水性の高い塗料を選定することがあります。
ただ、既存塗膜の種類によっては、あまりにも防水性を高めると塗膜の収縮に影響したり、透湿性が低くなり、塗膜の膨れなどが起きやすくなるので注意が必要です。
また、ALCに微弾性フィラーを用いることも多いですが、パワーボードの厚みになってくると蓄熱性が高く、後に塗膜の膨れが起きることがあります。
ALCは新築時の目止めや蓄熱の影響で、塗膜の膨れが起こることもありますので、できれば透湿性の高い塗材を使用することをお勧めしています。
関西ペイント 透湿ファンデラフ
ダイヤ セラ・トーシツプラス など
ALCのシーリング
ALCの塗り替えはシーリングが必要な箇所が多く、シーリングの種類や工法によって工事金額が大きく変わります。
結論から申し上げると基本的には、打ち替えが望ましいです。
しかし1回目の塗り替えであれば、継ぎ目部分にシーリングの厚みを確保できる深さ(打ちしろ)があればが増し打ち、窓やドアなどのサッシ廻りは打ち替えになるケースが主になります。
2回目の塗り替えの場合には、継ぎ目部分に打ちしろがないことが多く、すべて打ち替えになることが多くあります。
打ち替えの場合、3面接着されているシーリングを撤去するのは手間のかかる作業で、ALCの欠損も見積りに計上しないと行けないので、かなり割高に感じることもあると思います。
使用するシーリング材は、ウレタンシーリングや変成シリコンを使用します。
弊店では、塗料との相性からノンブリード型ウレタンシーリングがいいと思っております。
専用のALC補修材を使うことも重要
ALCは軽石みたいなものなので、断面補修や欠損補修には、専用のALC補修材を使うことが重要です。
硬くて高収縮なモルタルなどを使用すると、ALCとの相性が悪く、ひび割れなどが起きやすくなります。
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