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塗料の乾燥時間

外壁塗装・屋根塗装で使われる塗料は「半製品」と言われています。

塗料は塗料メーカーが製造しますが、塗装業者が現場で正しく塗装をして塗膜となり、その性能を発揮できる「完成形」として、はじめてその目的を果たすことができます。

塗料だけでは完成品として成立しないことから半製品と言われており、どんなにすぐれた高価な塗料を使っても、メーカーが定めた塗装の工程を正しく守らなければその性能を発揮できません。
それどころかさまざまな不具合の原因となってしまうこともあります。

今回はその塗装の工程の中でも非常に重要な、塗料の間隔時間(乾燥時間、塗り重ね乾燥時間)について解説いたします。

 

塗料の間隔時間とは?

間隔時間は、塗料を塗ってから、次の塗料を塗れるまでに必要な乾燥時間のことを指します。

通常、塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3工程が基本ですが、下塗りをした後、中塗りをした後に、それぞれの塗料で定められている間隔時間をおいてから、次の工程を始める必要があります。

 

間隔時間は施工仕様書によって厳密に決められている

間隔時間は、メーカーが塗料ごとに定める施工仕様書(塗装仕様書)に記載されています。

施工仕様書とは各塗料や基材ごとに定められている標準的な塗装工程(塗布量、回数、乾燥時間、注意点など)を記したもので、塗料のカタログやメーカーのホームページなどで公開されています。

塗装業者がこの仕様書に従って塗装することで、はじめて正しく塗料の性能を発揮することができます。

出典:関西ペイント

間隔時間を守らないことで起こる不具合

この時間を守らずに次の工程を行ってしまうと、塗料の種類によっては塗膜の縮みや乾燥不良、艶引けなどの不具合が起きる可能性が高まります。
また、前工程で塗った塗料となじんで(微妙に溶解して)しまい、結果的に十分な膜厚(塗膜の厚み)が確保できない場合があります。

縮みや艶引けは施工中の不具合として手直しができますが、膜厚不足による塗料の性能の低下は、すぐに症状として現れず数年後に起こることが多いため、間隔時間を守って施工をすることは非常に重要です。

 

環境や下地によって変化します

多くの塗料メーカーは23℃を乾燥時間の基準としていますが、湿度や日当たり、とくに空気の流れによって乾燥時間は大きく変わってきます。
冬季に5℃(塗装可能下限)になれば当然乾燥時間も多く必要になりますが、空気の流れがあれば23℃時と変わらないくらい乾燥します。逆に夏季に35℃でも北面狭小部のジメジメしたような場所だと乾燥が遅れます。

日本ペイントは23℃だけでなく5~10℃、30℃と乾燥時間の目安を表記してくれています。

出典 日本ペイント

また下地の吸い込みがある場合には表面に残る塗料が少ない為、乾燥も早くなります。
逆に凹凸がある場合には凸部の乾燥は通常通りですが、凹部には塗料が溜まることがあるので乾燥が遅れることが多いです。

 

乾燥時間の段階について

では塗料メーカーが定める乾燥状態とはどのような状態なのか
乾燥時間の段階には指触乾燥、半硬化乾燥、硬化乾燥、完全乾燥の4段階があります。

①指触乾燥…塗装面に指で軽く触れた際、指に塗料が付かない程度の乾燥状況を指します。この状態では塗り重ねに不安があります。

②半硬化乾燥…塗装面を静かに軽く擦った際、塗装面に擦り跡が付かない程度の乾燥状況を指します。

③硬化乾燥…塗装面を強く押した際、指紋による凹みが付かない状況で、塗膜の動きが感じられない乾燥状況を指します。また塗装面を繰り返し急速に擦っても塗装面に擦り跡がつかない程度の乾燥状況を指します。

④完全乾燥
完全乾燥とは、塗膜内部で起こっている硬化のための反応が全て終了した状態です。
指触乾燥、半硬化乾燥、硬化乾燥までは感覚的に把握できますが、完全乾燥は感覚的に確かめることができません。

多くの塗料メーカーが定める「23℃ 〇時間以上~〇日以内」 の最短時間は②半硬化乾燥になり、このあたりまで乾燥すれば塗り重ね可能です。

 

おわりに

外壁塗装の塗料の間隔時間(乾燥時間)について説明しました。

説明してきましたように、間隔時間は各塗料メーカー各製品ごとに、塗料カタログやホームページなどで公開しています。
ですが、施工現場では天候や環境など多少のイレギュラーがつきものです。
また塗料によって硬化乾燥する方法が異なり、融着乾燥のほか、気温や液温によって反応硬化するスピードが異なる重合乾燥などもあります。
この様に施工業者による材料の種類や天気、環境に合わせた現場判断も重要となってきます。

塗装とは幾層も塗料を塗り重ねていく作業であり、前の作業と次の作業との間には、適切な乾燥時間(適正乾燥時間)を持つ必要があります。
外壁塗装では、下塗り・中塗り・上塗りと塗り重ねるのが一般的で、状況により下塗りや上塗りの回数を増やしたりなど更に工程が増える場合もありますが、適正な間隔時間を持たなければ塗膜に適切な厚みを持たせることができません。

 


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