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塗料の期待耐用年数
期待耐用年数とは
近年、塗料やシーリングのカタログには期待耐用年数が記載されていますが、期待耐用年数とは、次回の塗替え時期の目安の事です。
したがって、塗膜の耐久性を保証する年数ではありません。
また、この期待耐用年数を年限を過ぎてから劣化が始まると誤解している方も多いようですが、耐用年数の期間中も劣化しないわけではありません。
塗膜の劣化は形成されたその日から劣化は徐々に進行しますので、耐用年数とはギリギリこの年数まで光沢や性能を保てるという年数で、食材で言えば賞味期限、消費期限のようなニュアンスです。
期待耐用年数の違い
塗料の期待耐用年数の違いは、塗料の「耐候性」の性能の違いであり
「耐候性能が高い=期待耐用年数が長い」となります。
例外もありますが一般的に塗料の主成分となる樹脂の種類で耐候性に差があります。
(樹脂の種類については、別のページで解説します。)
耐候性能の違いは、各塗料メーカーが専用の機材を使い負荷をかけ耐久テストをし、劣化因子となる紫外線や水、排気ガスのような点も考慮し設定しています。
一般的に耐候性は「促進耐候性試験」や「屋外暴露試験」によって評価されます。
促進耐候性試験とは
促進耐候性試験とは太陽光、温度、湿度、降雨などの屋外環境条件を人工的に再現して試験体の劣化を促進させ、製品・材料の寿命をある程度予測できるようにした試験で、専用機械に塗膜の試験体サンプルを晒し、繰り返し行うことによってその状態変化を測定し評価する試験です。
促進耐候性試験(キセノンランプ)のグラフの見方
この評価方法では、塗装初期の光沢を光沢保持率100%とし、光沢保持率が80%を下回ると塗料の性能が低下したと判断し、40%まで落ちるとチョーキングが始まるとされています。
キセノンランプで250時間は内陸部の1年相当です。
ただし、塩害部や紫外線が良く当たる所についてはキセノンランプで塩害部400時間は1年相当です。
また、光沢保持率80%くらいがカタログに記載されている期待耐用年数に近いように思います。
出典 関西ペイント
関西ペイント ダイナアクセルの促進耐候性試験を例にすると、促進耐候性試験4000時間経過後(屋外では13年相当)の光沢保持率が90%です。
恐らく光沢保持率80%以下になるには5000時間辺り(屋外では17年相当)かと思われます。
屋外暴露試験とは
試験体を実際に自然環境下にさらして状態の変化を確認する方法です。
日本列島は南北に長く、内陸部、降雪地帯、沿岸部、沖縄など地域によって環境条件はバラバラです。
工業材料や工業製品の暴露試験を行う(財)日本ウエザリングテストセンターでは
・千葉県銚子市(日本の標準的な気候)
・沖縄県宮古島(高日射、高温多湿、塩害など国内で最も過酷な環境)
・北海道旭川市(低温、積雪のある環境)
で暴露試験をしています。
まとめ
塗料の期待耐用年数の違いは、塗料の主成分の一つである樹脂の種類によって、耐候性能に違いがあり、各塗料メーカーが専用の機材を使い10年・20年分の負荷をかけ耐久テストをしています。
しかし、この数値は条件の整った環境で製造された塗膜に対し、想定される劣化要因を試験機で疑似的に再現した試験で得られたもです。
そのため実際の現場で塗装された塗膜では性能を割り引いて考える必要があります。
また、年々紫外線量は増えているとの見解もあり、これらは耐用年数には考慮されていませんので、期待耐用年数はあくまで期待値であり目安であると理解しておくことが大切です。
また塗装職人が理解し、正しい方法で丁寧に下地をつくらなければ、高性能塗料に設定されている期待耐用年数より早く劣化するでしょう。
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